墓じまいを検討される際、多くの方が不安に感じるのが「トラブルに巻き込まれないか」という点です。実際、近年の墓じまい件数の増加に伴い、親族間での意見の相違、お寺との離檀に関する問題、石材店との費用トラブルなど、様々な困りごとが報告されています。

しかし、これらのトラブルの多くは事前の準備と適切な対応により避けることができます。この記事では、墓じまいで実際に起こりやすいトラブルの種類と具体的な事例をご紹介し、それぞれの予防策と万が一トラブルが発生した場合の解決方法を分かりやすくお伝えします。

これから墓じまいをお考えの方が、安心して進められるよう、実践的な情報をまとめました。

墓じまいトラブルで多いのは親族間の意見対立

墓じまいを進める上で多く発生するトラブルは、ご親族間での意見の相違です。

お墓は先祖代々受け継がれてきた大切なものであり、それぞれの方が異なる想いや価値観をお持ちです。そのため、墓じまいという重要な決断について、全員が同じ考えを持つことは難しい場合があります。特に、お墓の継承者だけで判断を進めてしまうと、後々大きな問題に発展する可能性があります。

遺骨供養ウーナ
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ご親族への事前相談なしで進めた場合のご負担

墓じまいを継承者の判断だけで進めてしまうと、後から知った親族との関係が悪化してしまうケースが少なくありません。例えば、遠方に住む兄弟姉妹や親戚の方々にとって、お墓は故人との大切なつながりの場所です。

事前に相談なく墓じまいが行われたことを後で知った親族の方から「なぜ相談してくれなかったのか」「最後のお参りをしたかった」という声が寄せられ、家族関係に深い溝ができてしまった事例が報告されています。また、墓じまい後に「先祖を軽んじている」と受け取られ、親族間の信頼関係が損なわれることもあります。

このような状況を避けるためには、墓じまいを検討し始めた段階で、できるだけ多くの親族の方々にお声がけをして、考えや想いを共有することが大切です。全員が賛成しなくても、少なくとも検討していることを知っていただくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

費用負担についてのご親族間での認識の違い

墓じまいには、墓石の撤去費用、お寺への離檀料、ご遺骨の改葬費用など、様々な費用が発生します。一般的な墓じまいの総費用は30万円から300万円程度となり、決して小さな金額ではありません。

この費用負担について、事前に明確な話し合いがないまま進めてしまうと、後から「なぜ自分だけが負担しなければならないのか」「事前に相談があれば費用を分担できたのに」といった不満が生まれることがあります。特に、お墓の継承者が全額を負担することを前提に進めていたものの、後から他の親族に費用の一部負担を求めた際に対立が生じるケースが見られます。

費用負担についての考え方は家族によって様々です。継承者が全額負担する場合もあれば、親族で分担する場合もあります。大切なのは、墓じまいを決める前に費用の見積もりを取り、誰がどの程度負担するのかを事前に話し合っておくことです。

先祖代々のお墓を守りたいというお気持ちへの配慮

墓じまいに反対する親族の方の中には「先祖代々のお墓を自分たちの代で終わらせるのは申し訳ない」「親が大切にしてきたお墓をなくすことはできない」という強い想いをお持ちの方もいらっしゃいます。

このようなお気持ちは決して間違っているわけではなく、むしろ先祖を大切に想う心の表れです。そのため、墓じまいを提案する側は、このようなお気持ちに十分配慮した説明が必要です。例えば、お墓を維持することが物理的・経済的に困難になっている具体的な事情をお伝えし、墓じまいをすることがかえって先祖を大切にすることにつながる理由を丁寧にご説明することが重要です。

また、墓じまい後のご遺骨をどのように供養するかという点も、反対する親族の方の理解を得るための重要なポイントです。散骨や納骨堂への納骨など、具体的な供養方法を提示することで、「先祖が大切にされなくなるわけではない」という安心感を持っていただけることがあります。

ご親族間のトラブルを避けるための事前準備

親族間のトラブルを避けるために効果的な方法は、早い段階からの丁寧なコミュニケーションです。まず、墓じまいを検討していることを親族の方々にお伝えし、それぞれのお考えや想いを聞く機会を設けることが大切です。

この際、墓じまいを決定事項として伝えるのではなく「検討している」という段階でご相談することがポイントです。そうすることで、親族の方々も自分の意見が尊重されていると感じ、建設的な話し合いができます。また、お墓の維持が困難になっている具体的な理由(高齢でお参りが難しい、遠方で管理ができない、経済的な負担が大きいなど)を正直にお話しすることで、理解を得やすくなります。

さらに、墓じまい後の供養方法についても複数の選択肢を提示し、親族の方々の意見を取り入れながら決めていくことで、全員が納得できる形を見つけやすくなります。時間がかかっても、このような丁寧なプロセスを経ることが、後々のトラブルを防ぐ最善の方法です。

墓じまいのトラブル|お寺との離檀料や改葬手続きでの困りごと

墓じまいを進める際、菩提寺との関係で様々な困りごとが生じることがあります。

お寺との関係は長年にわたって築かれてきたものであり、墓じまいという話題を切り出すこと自体に気後れを感じる方も少なくありません。しかし、適切な方法で誠実に対応すれば、多くの場合は円満に進めることができます。一方で、対応を誤ると予想外の要求を受けたり、手続きが進まなくなったりする可能性もあります。

離檀料の適正な相場と高額請求への対応方法

離檀料とは、お寺の檀家をやめる際にお渡しする金額のことです。法律で定められた義務ではありませんが、長年お世話になったお寺への感謝の気持ちとして、また今後の寺院運営への支援として、離檀料をお渡しすることが一般的な慣習となっています。

離檀料の適正な相場は、地域やお寺との関係性によって異なりますが、一般的には3万円から20万円程度とされています。多くの場合は10万円前後でお納めするケースが多いようです。この金額は、これまでの法要でお渡ししてきたお布施と同程度、あるいは少し多めの金額を目安にすると良いでしょう。

ところが、中には300万円や700万円といった高額な離檀料を請求されるケースもあるそうです。もし高額な離檀料を請求された場合は、まず冷静に対応することが大切です。お寺の住職に対して、支払いが困難であることを丁寧にお伝えし、相場に近い金額でのご理解をお願いしてみましょう。

それでも解決しない場合は、その宗派の本山に相談する方法があります。本山からお寺に指導が入ることで、適正な金額に修正されるケースもあります。また、弁護士や国民生活センター(電話番号188)に相談することも有効です。これらの専門機関は、法的な観点からアドバイスを提供してくれます。

お寺から改葬許可申請書への署名を断られた場合

墓じまいを行う際には、現在のお墓がある市区町村から「改葬許可証」を取得する必要があります。この許可証を取得するためには、お寺から「埋葬証明書」または「収蔵証明書」に署名・押印をいただく必要があります。

しかし、離檀に反対するお寺が、この証明書への署名を拒否するケースがあります。署名がなければ改葬許可証が取得できず、ご遺骨を取り出すことができないため、墓じまいが進められなくなってしまいます。このような状況は、お寺との関係が悪化している場合や、離檀料の交渉がまとまっていない場合に起こりやすくなります。

このような場合の対応方法として、まず市区町村の担当窓口に相談することをお勧めします。自治体によっては、お寺からの証明書が得られない事情を説明することで、代替書類での手続きを認めてくれる場合があります。例えば、お寺に証明書の発行を依頼した記録(内容証明郵便など)と、お墓に埋葬されていることを示す他の資料(過去の法要の記録、墓地使用許可証など)を提出することで、手続きを進められることがあります。

また、行政書士に相談することも有効です。行政書士は改葬許可申請の手続きに詳しく、お寺との交渉が難しい場合の代替手段についてアドバイスをしてくれます。さらに、最終的には弁護士を通じて法的な手続きを進めることも可能ですが、できるだけ円満な解決を目指すことが、精神的な負担も少なくなります。

ご遺骨の引き渡しを拒まれた際の解決方法

改葬許可証を取得できても、お寺がご遺骨の引き渡しを拒否するケースがあります。これは、離檀料の支払いが済んでいないことを理由にされる場合や、墓じまい自体に強く反対している場合に起こります。

ご遺骨は故人のご遺族にとって何よりも大切なものであり、その引き渡しを拒否することは法的にも問題があります。民法上、ご遺骨は祭祀財産として扱われ、祭祀承継者(お墓の継承者)に所有権があるとされています。そのため、正当な理由なくご遺骨の引き渡しを拒否することはできません。

このような状況に直面した場合、まずはお寺の住職に対して、改葬許可証を提示し、法的にご遺骨を引き取る権利があることを丁寧にお伝えすることが重要です。それでも応じていただけない場合は、内容証明郵便でご遺骨の引き渡しを求める文書を送付し、記録に残すことをお勧めします。

さらに対応していただけない場合は、弁護士に相談し、法的手続きを検討する必要があります。弁護士からお寺に対して正式な通知を送ることで、多くの場合は引き渡しに応じていただけます。また、警察に相談することも選択肢の一つです。ご遺骨の不当な占有は刑法上の問題となる可能性もあるためです。

ただし、このような対立的な状況に至る前に、できるだけ話し合いによる解決を目指すことが、双方にとって望ましい結果につながります。

お寺との交渉を円満に進めるための心構え

お寺とのトラブルを避け、円満に墓じまいを進めるためには、最初の段階での対応が非常に重要です。まず大切なのは、墓じまいを決定事項として突然伝えるのではなく、検討している段階でご相談することです。

お寺にとって、檀家が減ることは運営面での影響があります。そのため、突然「墓じまいをします」と伝えられると、お寺側も防衛的な反応をしてしまう可能性があります。一方、「このような事情で墓じまいを検討しているのですが、ご相談させていただけますか」という姿勢で臨むことで、お寺側も理解を示しやすくなります。

また、墓じまいを決めた理由を正直にお話しすることも大切です。高齢で管理が難しい、遠方で定期的なお参りができない、経済的な負担が大きいなど、具体的な事情を説明することで、お寺側も納得しやすくなります。決して「お寺が気に入らないから」というような個人的な不満を理由にするのではなく、やむを得ない事情であることを理解していただくことがポイントです。

さらに、長年お世話になったことへの感謝の気持ちを言葉と態度で示すことが、円満な関係を保つ鍵となります。墓じまいの相談をする際には、「長い間、先祖の供養をしていただき本当にありがとうございました」という感謝の言葉から始めることで、その後の話し合いもスムーズに進みやすくなります。

離檀料についても、「お気持ちとして」という形でこちらから金額を提示することで、お寺側も受け入れやすくなります。相場を参考にしながら、これまでのお付き合いに見合った金額を用意し、感謝の気持ちとともにお渡しすることで、多くの場合は円満に離檀できます。

墓じまいのトラブル|石材店との費用や工事内容での問題

墓じまいを進める際、石材店との間で費用や工事内容に関するトラブルが発生するケースがあるそうです。墓石の撤去工事は専門的な技術が必要であり、また墓地によって条件が異なるため、適正な費用を判断することが難しい面があります。

石材店とのトラブルの多くは、見積もりと実際の請求額の違い、指定石材店による高額請求、工事内容の不透明さなどに起因しています。これらのトラブルを避けるためには、契約前の慎重な確認と、複数の会社からの情報収集が重要です。

墓じまい費用の適正相場と見積もりの確認ポイント

墓じまいにおける墓石撤去費用の相場は、1~2㎡未満15万円〜30万円程度とされています。ただし、この金額はお墓の立地条件、墓石の大きさや種類、墓地までの道路状況などによって大きく変わります。

例えば、重機が入れない狭い場所にあるお墓の場合、手作業での撤去が必要となるため費用が高くなります。また、山の中腹にあるお墓や、階段を使わなければアクセスできない場所では、墓石の運搬に手間がかかるため、追加費用が発生することがあります。

見積もりを依頼する際に確認すべきポイントは、まず「何が含まれているか」を明確にすることです。墓石の撤去だけなのか、基礎部分の撤去や整地作業も含まれているのかなど、作業内容を詳細に確認することが大切です。

また、「追加費用が発生する可能性」についても事前に確認しておきましょう。例えば、墓石の下に予想外の基礎構造があった場合、その撤去に追加費用がかかることがあります。見積もりの段階で、どのような場合に追加費用が発生するのか、その場合の金額の目安はいくらなのかを確認しておくことで、後々のトラブルを防げます。

遺骨供養ウーナではお見積り時には必ずお客様のお墓に担当者が現地確認し、正確なお見積りをお出しします。お見積り後にキャンセルになったとしても費用は発生しませんので、ご安心ください。

指定石材店制度による費用負担の増加

多くの霊園や墓地では「指定石材店制度」が採用されており、墓じまいの工事を行える石材店が限定されています。この制度は、墓地の管理者が信頼できる石材店を指定することで、工事の質を保証し、墓地内での事故やトラブルを防ぐという目的があります。

しかし、この指定石材店制度が費用面でのトラブルの原因となることがあります。指定石材店が限られている場合、競争がないため費用が高額になりがちです。また、他の石材店の見積もりと比較することができないため、適正価格かどうかの判断が難しくなります。

実際に、指定石材店からの見積もりが、一般的な相場の2倍近い金額だったという事例も報告されています。このような場合、まずは墓地の管理者に対して、指定石材店以外での工事が本当に不可能なのか確認することをお勧めします。規則上は指定石材店制度があっても、実際には相談により他の石材店での工事を認めてくれるケースもあります。

また、指定石材店に見積もりを依頼する際には、費用の内訳を詳しく説明してもらい、高額になっている理由を確認することが大切です。正当な理由(特殊な工事が必要、墓地の規則で特別な手順が必要など)があれば納得できますが、理由が不明確な場合は、墓地の管理者や消費生活センターに相談することも検討してください。

撤去された墓石のその後の透明性

墓じまいで撤去された墓石がどのように扱われるのか、不安に感じる方も多いでしょう。墓石は故人とのつながりを感じる大切なものであり、その行方について明確な説明を受けることは重要です。

撤去された墓石のその後について質問した時に、具体的な情報を提供してくれる会社を選ぶことをお勧めします。

複数の会社から見積もりを取る重要性

墓じまいの費用を適正に保ち、トラブルを避けるために効果的な方法は、複数の会社から見積もりを取ることです。一般的には、3社程度から見積もりを取ることで、適正な相場を把握しやすくなります。

複数の見積もりを比較することで、費用の相場が分かるだけでなく、各会社の対応の丁寧さや説明の分かりやすさも比較できます。見積もりを依頼した際の対応が丁寧で、質問に対して分かりやすく答えてくれる会社は、実際の工事の際も信頼できる可能性が高いです。

見積もりを依頼する際は、全ての会社に同じ条件を伝えることが大切です。お墓のサイズ、立地条件、希望する作業内容などを統一して伝えることで、見積もりを正確に比較できます。また、現地を確認してもらった上での見積もりを依頼することで、より正確な金額を把握できます。

墓じまいトラブルを相談できる窓口と解決方法

墓じまいを進める中でトラブルに直面した場合、一人で悩まず専門の相談窓口に相談することが大切です。適切な相談先を知っておくことで、問題が深刻化する前に解決の糸口を見つけることができます。

トラブルの内容によって適切な相談先が異なるため、それぞれの窓口の特徴と対応範囲を理解しておくことが重要です。また、相談する際には、状況を整理し、関連する書類を準備しておくことで、より的確なアドバイスを受けることができます。

国民生活センターや消費生活センターへのご相談

墓じまいに関する費用トラブルや契約上の問題については、国民生活センターや消費生活センターに相談することができます。これらの機関は、消費者と会社との間のトラブル解決をサポートしてくれる公的な相談窓口です。

国民生活センターへは、全国共通の電話番号「188(いやや)」に電話することで、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。平日の日中に相談を受け付けており、相談は無料です。相談員が状況を聞き取り、適切なアドバイスや対応方法を提案してくれます。

特に、石材店からの高額請求、契約内容と異なる請求、見積もりと実際の費用の大きな違いなどについては、消費生活センターが対応してくれます。また、契約を解除したい場合や、既に支払った費用の返還を求めたい場合にも相談できます。

相談する際には、契約書、見積書、請求書、石材店とのやり取りの記録(メールや手紙など)を手元に用意しておくとスムーズです。また、トラブルの経緯を時系列で整理しておくことで、相談員に状況を正確に伝えることができます。

消費生活センターでは、必要に応じて会社に対して連絡を取り、調整や指導を行うこともあります。また、法的な手続きが必要な場合は、弁護士などの専門家を紹介してくれることもあります。

弁護士に相談すべきケース

お寺からの法外な離檀料請求、ご遺骨の引き渡し拒否、契約内容を巡る深刻な対立など、法的な解決が必要な場合は弁護士への相談を検討すべきです。弁護士は法律の専門家として、あなたの権利を守り、適切な解決方法を提案してくれます。

ただし、弁護士への相談には費用がかかることが一般的です。初回相談は30分5,000円程度が相場ですが、事務所によっては初回相談を無料で行っているところもあります。また、実際に弁護士に依頼する場合は、着手金と成功報酬が必要となり、ケースによって数十万円の費用がかかる可能性があります。

弁護士への相談が必要なケースとしては、離檀料として100万円以上の高額を請求されている場合、お寺が正当な理由なくご遺骨の引き渡しを拒否している場合、石材店との契約を巡って大きな金額の争いがある場合などが挙げられます。また、親族間での墓じまいを巡る深刻な対立があり、法的な手続きが必要な場合も、弁護士のサポートが有効です。

宗派の本山や行政書士への相談方法

お寺との離檀トラブルで、直接の話し合いでは解決が難しい場合、その宗派の本山に相談することが効果的な場合があります。本山とは、各宗派の中心となる寺院のことで、末寺(一般的なお寺)を統括する立場にあります。

本山への相談は、お寺の住職が宗教者としての立場を逸脱した行為(法外な離檀料請求、脅迫的な言動など)をしている場合に特に有効です。本山は末寺を指導する立場にあるため、不適切な対応をしているお寺に対して改善を求めることができます。

本山への相談方法は、まず菩提寺がどの宗派に属しているかを確認し、その宗派の本山の連絡先を調べます。電話やメールで相談窓口に連絡し、状況を説明して相談の予約を取ります。相談の際には、菩提寺との具体的なやり取りの記録や、請求された離檀料の金額が分かる書類などを用意しておくと良いでしょう。

本山からの指導により、お寺側の対応が改善されることが多いですが、必ずしも全てのケースで解決するわけではありません。それでも解決しない場合は、前述の弁護士への相談を検討する必要があります。

一方、改葬許可申請などの行政手続きに関する相談は、行政書士が専門です。行政書士は、官公署に提出する書類の作成や手続きの代行を行う専門家で、改葬許可申請についても豊富な知識と経験を持っています。

行政書士への相談は、お寺から埋葬証明書への署名を拒否されている場合、改葬許可申請の手続きが複雑で自分では対応が難しい場合、書類の不備で申請が通らない場合などに有効です。行政書士は、代替書類での申請方法を提案したり、自治体との交渉をサポートしたりしてくれます。

墓じまいで親族の同意はどこまで必要か

墓じまいを進める際、「親族全員の同意が必要なのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。法律上の要件と、実際に円満に進めるために必要な配慮には違いがあります。この点を正しく理解することで、トラブルを避けながらスムーズに墓じまいを進めることができます。

親族の同意については、法的な義務と道義的な配慮の両面から考える必要があります。法律で定められた最低限の要件を満たすことは当然ですが、それだけでは後々のトラブルを完全に防ぐことはできません。家族の絆を大切にしながら、適切な範囲で同意を得ることが重要です。

法律上必要な同意と慣習上必要な同意の違い

墓地埋葬法に基づく改葬手続きにおいて、法律上必ず必要となる同意は、実は限定的です。改葬許可申請を行う権利を持つのは「祭祀承継者」、つまりお墓の継承者のみとされています。したがって、法律上は祭祀承継者の判断だけで墓じまいの手続きを進めることができます。

祭祀承継者は、通常は故人が指定した方、指定がない場合は慣習に従った方、それも明確でない場合は家庭裁判所が定めた方となります。多くの場合、長男や配偶者が祭祀承継者となっていますが、最近では長女や次男が継承するケースも増えています。

しかし、法律上の権利があるからといって、他の親族に相談なく墓じまいを進めることは、家族関係の悪化を招く可能性があります。特に、複数の親族がお墓にお参りしている場合や、先祖代々の墓で多くの親族が関わりを持っている場合は、慎習上の配慮として広く相談することが望ましいとされています。

慣習上、同意を得ることが望ましい範囲としては、故人の配偶者、子どもたち、故人の兄弟姉妹など、お墓に直接関わりのある親族が含まれます。また、お墓に納骨されている方々の直系の子孫にも、できる限り事前にお知らせすることが丁寧な対応といえます。

法律上の要件と慣習上の配慮のバランスを取ることが、円満な墓じまいの鍵となります。法律上の権利があることを盾に強引に進めるのではなく、できる限り多くの関係者の理解を得る努力をすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。

墓じまいを進める際の親族への説明範囲

墓じまいを検討し始めた段階で、どの範囲の親族に説明すべきかは、家族の状況によって異なります。ただし、一般的な目安として、以下のような範囲を考慮することをお勧めします。

まず、必ず説明すべき親族は、故人の配偶者、子どもたち、そしてお墓に納骨されている方々の直系の子孫です。これらの方々は、お墓に対して強い思い入れを持っている可能性が高く、墓じまいについて意見を述べる権利があると考えられます。

次に、できれば説明することが望ましい親族は、故人の兄弟姉妹、従兄弟姉妹など、お墓参りをしたことがある親族です。これらの方々全員の同意を得る必要はありませんが、少なくとも検討していることをお知らせし、意見を聞く機会を設けることが丁寧な対応といえます。

説明の方法としては、できれば直接会って話をすることが理想的ですが、遠方に住んでいる場合は電話やビデオ通話でも構いません。重要なのは、一方的に決定事項を伝えるのではなく、相談という形で話を持ちかけることです。

説明の際には、墓じまいを検討している具体的な理由を正直にお話しすることが大切です。例えば「高齢になり、お墓の管理が体力的に難しくなってきた」「遠方に住んでいるため、定期的なお参りができない」「経済的な負担が大きく、今後の維持が困難」など、やむを得ない事情を丁寧に説明することで、理解を得やすくなります。

また、墓じまい後のご遺骨の供養方法についても、説明の段階である程度の案を示すことが重要です。散骨を考えているのか、永代供養墓に納骨するのか、手元供養にするのかなど、具体的な選択肢を提示することで、親族の方々も将来のイメージを持ちやすくなります。

お墓の継承者変更という選択肢

墓じまいを検討する理由が、現在の祭祀承継者の負担が大きいという場合、墓じまいではなく継承者を変更するという選択肢もあります。例えば、高齢の長男がお墓を維持することが困難になっている場合、次世代の孫や、地元に住む他の親族に継承者を変更することで、お墓を維持できる可能性があります。

継承者変更は、現在の継承者と新しい継承者の両方が同意すれば可能です。また、墓地の管理者に継承者変更の届出を行い、必要な手続きを完了させる必要があります。手続きの詳細は墓地によって異なりますが、一般的には戸籍謄本などの書類提出が求められます。

継承者変更の利点は、先祖代々のお墓を残すことができ、お墓を守りたいという親族の想いに応えられることです。また、墓じまいに伴う費用や手続きの負担を避けることができます。一方、新しい継承者にとっては、今後の管理責任と費用負担を引き受けることになるため、十分な話し合いと合意が必要です。

継承者変更を検討する際は、新しい継承者候補の方が本当に引き受けられるかどうか、慎重に確認することが大切です。単に「お墓を守りたい」という気持ちだけでなく、実際に定期的なお参りができる距離に住んでいるか、管理費用を負担できる経済状況にあるか、家族の理解と協力が得られるかなどを考慮する必要があります。

また、継承者を変更した後も、元の継承者や他の親族が引き続きお参りできるよう、関係性を維持することも重要です。継承者が変わっても、お墓は家族全体の大切な場所であるという認識を共有することで、円満な関係を保つことができます。

よくある質問|墓じまいトラブルに関する疑問

墓じまいの将来の負担にはどのようなものがありますか

将来のご負担は、墓じまい後の供養方法によって異なります。

海洋散骨では一度の費用で完結し、その後の負担はありません。また、手元供養を選ばれる場合は、特別な費用負担は発生しませんが、ご遺骨の保管場所や管理方法について配慮が必要です。

永代供養では、多くの場合契約時の支払いになりますが、永代供養のタイプや、公営、民営(管理会社や霊園)、寺院(宗教法人)の方針によって異なる場合もあります。

墓じまいをすると呪われるという話は本当ですか

厚生労働省の統計によると、改葬件数は2012年度の約8万件から2022年度には約15万件へと、10年間で2倍以上に増加しています。しかし、それによる不幸の科学的証拠はありません。墓じまいは状況に応じた適切な供養の形であり、多くの宗派でも否定されていません。仏教では「供養の心」が重要とされています。

精神的な安心のため、墓じまい前に閉眼供養を行い、墓じまい後の供養方法をしっかり決めておくことをお勧めします。

兄弟間でお墓についての意見が分かれた場合の対策はどのようなものがありますか

全員で直接話し合い、お互いの事情や想いを率直に共有することが重要です。

墓じまいを提案する側は具体的な理由を説明し、反対する側の想いも十分に聞いて尊重します。妥協案として、継承者を変更してお墓を維持する方法や、ご遺骨の供養方法に意見を取り入れる方法があります。費用を兄弟で分担することも効果的です。

一度で結論を出そうとせず、時間をかけて話し合いを重ねることで、全員が納得できる解決策が見つかります。

遺骨供養ウーナ|墓じまい後のご遺骨供養を全国対応でサポート

遺骨供養ウーナは、お墓じまいや散骨、粉骨など、遺骨供養サービス全体で年間約3,000件のご遺骨供養のご依頼をいただいております。この豊富な経験に基づき、墓じまい後のご遺骨について、お客様のご状況とお気持ちに寄り添った供養方法をご提案いたします。

お墓じまいについても全国対応でサポートしております。

また、お客様に安心してご利用いただけるよう、全額前払い制を採用しております。これは、お客様の大切なご遺骨をお預かりする前に費用を明確にし、後から追加費用が発生する心配をなくすためです。ご不明な点やご心配なことがございましたら、無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

墓じまいという大切な決断をされる皆様が、その後も心安らかに故人様を想い続けられるよう、遺骨供養ウーナは誠心誠意サポートさせていただきます。

遺骨供養ウーナ公式サイト:https://una-kuyou.jp/

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