お墓の管理費の負担や後継者問題を解決したくても、ご先祖様のご遺骨を適切に扱う方法が明確でないために、なかなか決断できずにいる状況もあるでしょう。

実際に墓じまいを行った後は、永代供養墓、海洋散骨、手元供養といった複数の選択肢があり、それぞれに費用や手続きの違いがあります。また、ご遺骨の取り出しや運搬についても法的なルールがあるため、正しい知識を持って進めることが大切です。

この記事では、墓じまい後のご遺骨の供養方法について、費用相場から具体的な手続きまでを分かりやすく説明します。法的に安全で、ご家族が安心して選択できる方法を見つけていただけるよう、実用的な情報を中心にご案内します。

墓じまい後のご遺骨の行き先|適切な供養方法と基本的な選択肢

墓じまいを行った後のご遺骨には、法的に適切で安心できる複数の供養方法があります。ご家族の価値観や経済状況に合った方法を選択することが大切です。

ご遺骨を法的に安全に扱うために知っておきたい基本ルール

ご遺骨の取り扱いには法的なルールがあり、勝手に土に埋めたり、河川に流したりすることは法律で禁止されています。これは死体遺棄罪にあたる可能性があるため、必ず適切な方法で供養を行う必要があります。墓地埋葬法では、ご遺骨の埋葬は指定された墓地でのみ認められており、それ以外の場所への埋葬は原則として禁止されています。

ただし、散骨については「葬送の一形態」として厚生労働省が容認しており、適切な方法で行えば法的な問題はありません。重要なのは、節度を持って実施することと、ご遺骨を粉末状に加工することです。

永代供養墓

永代供養墓は、寺院や霊園が責任を持って長期間にわたってご遺骨を管理・供養してくれる方法です。後継者がいない場合や、将来の管理に不安がある方に多く選ばれている供養方法となっています。

合祀墓では3万円から30万円程度、納骨堂では10万円から150万円程度、個別の永代供養墓では50万円から150万円程度が費用相場です。永代供養料を一度支払えば、その後の年間管理費は基本的に不要で、寺院による継続的な供養が受けられます。お寺、公営霊園、民営霊園それぞれに特徴があるため、宗教的な制約や費用面での違いを理解して選択することが重要です。

海洋散骨

海洋散骨は、火葬後に粉骨したご遺骨を海に散骨する自然葬の方法です。費用相場は3万円から40万円程度で、お墓の維持管理が不要という特徴があります。散骨後は海全体が大きなお墓となり、いつでも海を見て故人様を偲ぶことができます。

委託海洋散骨(代行散骨)なら3万円から10万円程度、合同散骨は10万円から20万円程度、貸切散骨は20万円から40万円程度となっています。法律上は改葬にあたらないため、改葬許可証は基本的に不要ですが、自治体によって見解が異なる場合があります。

手元供養

手元供養は、ご遺骨を手元に残して故人様を身近に感じながら供養する方法です。手元供養品の費用相場は1万円から20万円程度で、ペンダントやミニ骨壷、置物など様々の選択肢があります。

手元供養では、ご遺骨の粉骨が必要になります。粉骨によってご遺骨の体積が減り、小さな骨壷への移し替えや手元供養品への納骨が可能になります。手元供養は他の供養方法と組み合わせることもでき、柔軟性の高い選択肢として注目されています。

分骨という選択肢

分骨は、ご遺骨を複数の場所や方法に分けて供養する選択肢です。例えば、一部のご遺骨を永代供養墓に納骨し、残りのご遺骨を手元供養で保管するといった組み合わせが可能です。この方法により、従来のお墓参りの心配をしながらも、故人様を身近に感じることができます。

分骨を行うこと自体は法的に問題なく、多くの方が選択している方法です。家族間で意見が分かれる場合にも、それぞれの価値観を尊重しながら供養を続けられる解決策となることがあります。

墓じまいでご遺骨を取り出す手順と事前に知っておきたい注意点

墓じまいにおけるご遺骨の取り出しは、適切な手順と注意点を理解して行うことが大切です。地域や墓地の種類によって状況が異なるため、事前の準備と確認が重要になります。

ご遺骨の取り出しに必要な手続きと改葬許可証について

この段階での丁寧なコミュニケーションが、後のトラブル回避につながります。ご遺骨の取り出しには、まず改葬許可証の取得が必要です。改葬許可証は、現在の墓地がある市区町村の役場で申請します。申請には埋葬証明書、あるいは埋蔵証明書や収蔵証明書(現在の墓地管理者が発行)と受入証明書(新しい供養先の管理者が発行)が必要になります。

書類の取得には時間がかかる場合もありますので、余裕を持ったスケジュールで準備を進めてください。また、菩提寺のご住職や霊園の管理者には、事前にお墓じまいの意思をお伝えし、相談することが大切です。

石材店への依頼とご遺骨の丁寧な取り扱い

ご遺骨の取り出しは、必ず石材店などの専門会社に依頼することをお勧めします。墓石の撤去と同時に、カロート(納骨室のことで、墓石の下の地中やその上にある納骨のための空間)からご遺骨を丁寧に取り出してもらえます。費用は墓地の面積や立地条件によって異なりますが、1から2平方メートル未満の標準的なお墓で15万円から30万円程度が相場となっています。

石材店では、ご遺骨の状態を確認しながら慎重に作業を進めます。必要に応じて新しい骨壷への移し替えも行い、運搬に適した状態にしてくれます。作業は故人様への敬意を持って行われ、ご家族が立ち会うことも可能です。

カロート(納骨室)の状態とご遺骨の保存状況について

カロートの構造は地域によって大きく異なります。関東地方では密閉型のカロートが多く、ご遺骨は骨壷に納められた状態で保存されています。一方、関西地方では土に還る方式が一般的で、ご遺骨が土と混ざり合っている場合があります。

長年の埋葬により、骨壷が破損していたり、湿気の影響を受けていたりすることもあります。このような状態の確認と適切な対応は、専門知識を持つ石材店にお任せするのが安心です。ご遺骨の状態によっては、洗骨や乾燥の措置が必要になる場合があります。

洗骨や乾燥が必要なケースと専門会社への相談

カロート内の湿気や土の影響でご遺骨に汚れが付着している場合は、洗骨という作業が必要になります。洗骨は専用の設備と技術が必要な作業のため、専門会社への相談をお勧めします。

また、散骨を予定している場合は、洗骨後の乾燥作業も重要です。適切に乾燥されていないご遺骨は、粉骨作業や散骨時に問題が生じる可能性があります。このような専門的な作業については、遺骨供養の経験豊富な会社に相談することで、安心して進めることができます。

墓じまい後のご遺骨供養にかかる費用|供養方法別の詳細な内訳と予算の目安

墓じまい後の供養方法を選択する際は、それぞれの費用相場を正確に把握することが大切です。ご家族の予算に合わせて最適な選択ができるよう、詳細な費用情報をご案内します。

永代供養墓の費用相場(10万円〜150万円)

永代供養墓の費用は、供養の方法や施設によって大きく異なります。費用を抑えやすいのは合祀墓で、3万円から30万円程度で利用できます。合祀墓では複数の方のご遺骨を同じ場所に納骨するため、個別の墓標はありませんが、永代にわたって供養が続けられます。

納骨堂は10万円から150万円程度の範囲で、室内の清潔な環境でご遺骨を保管できます。個別の永代供養墓は50万円から150万円程度となっており、一定期間の個別安置後に合祀されることが一般的です。地域や管理者(お寺、公営霊園、民営霊園)によって費用が異なるため、複数の霊園で料金を確認することをお勧めします。

海洋散骨の費用相場(3万円〜40万円)

海洋散骨の費用は、散骨の方法によって大きく変わります。委託海洋散骨(代行散骨)は3万円から10万円程度で、ご遺族に代わって専門会社が散骨を実施します。合同散骨は10万円から20万円程度で、複数のご家族が同じ船に乗り合わせて散骨を行います。

貸切散骨は20万円から40万円程度となっており、ご家族だけで船をチャーターして散骨を行います。費用には粉骨代、船のチャーター代、散骨証明書の発行費用が含まれることが一般的です。散骨は改葬にあたらないため、多くの地域で改葬許可証は不要ですが、事前に確認することをお勧めします。

手元供養の費用相場(1万円〜20万円)

手元供養の費用は、選択する手元供養品によって決まります。シンプルなミニ骨壷、ペンダントタイプ、置物タイプなど、様々なタイプの手元供養品があります。

また、手元供養を行う際に、ご遺骨の粉骨を依頼されるお客様もいらっしゃいます。粉骨の費用は、選択するサービス内容によって1万円から5万円程度の幅があります。機械粉骨は1万円から3万円程度、手作業粉骨は3万円から5万円程度が相場となっています。手元供養品の製造販売を行っている専門会社に相談することで、希望に合った供養品を選択できます。

複数柱の取り扱いの場合

墓じまいでは、複数のご遺骨が納骨されている場合があります。ご遺骨の数は費用に大きく影響するため、事前に確認しておくことが重要です。粉骨費用は基本的にご遺骨1柱ごとに計算され、海洋散骨の費用もご遺骨の数に応じて変動します。

永代供養墓の場合、合祀墓では複数のご遺骨をまとめて納骨できることが多く、追加費用を抑えられます。一方、個別の永代供養墓では、ご遺骨の数に応じて区画の大きさや費用が変わる場合があります。複数のご遺骨がある場合は、分骨という選択肢も検討でき、一部を永代供養墓に、一部を手元供養にするといった組み合わせも可能です。

墓じまい後のご遺骨の移動で気をつけたい法的ルールと安全な方法

ご遺骨の移動には法的なルールと安全性への配慮が必要です。適切な方法で運搬することで、トラブルを避けながら安心して新しい供養先までお運びできます。

ご遺骨の運搬方法|自家用車や公共交通機関での注意点

ご遺骨の運搬は、自家用車や公共交通機関を利用して行うことができます。自家用車で運搬する場合は、骨壷を安定した場所に置き、急ブレーキや振動による破損を防ぐため、クッション材で包んで固定することが大切です。また、改葬許可証などの必要書類を必ず携帯してください。

公共交通機関を利用する場合は、骨壷を手荷物として持参します。電車や新幹線では特別な手続きは不要ですが、骨壷であることを隠す必要はなく、むしろ丁寧に取り扱うことが重要です。飛行機での運搬も可能ですが、航空会社によってルールが異なるため、事前に確認することをお勧めします。

ご遺骨配送について

ご遺骨の配送は、日本郵便のゆうパックでのみ可能です。他の宅配会社では取り扱いができないため、注意が必要です。ゆうパックでの配送には、改葬許可証などの必要書類のコピーを添付し、ご遺骨であることを明記して発送します。

配送時は、骨壷の破損を防ぐため十分な梱包を行い、「こわれもの」「逆さま厳禁」の指定をしてください。配送期間は通常1日から2日程度ですが、離島などの場合はより長くかかることがあります。重要なご遺骨の配送では、追跡サービスや保険の利用も検討することをお勧めします。

よくある質問|墓じまい後のご遺骨に関するお悩みにお答えします

墓じまい後のご遺骨について、多くの方からお寄せいただく質問にお答えします。

墓じまい後、ご遺骨はどうすればよいですか?

墓じまい後のご遺骨には、主に永代供養墓、海洋散骨、手元供養という3つの選択肢があります。多くの方に選ばれているのは永代供養墓で、寺院、公営霊園、民営霊園が責任を持って長期間供養してくれるため、後継者がいない方も安心です。

海洋散骨は自然に還るという考え方に基づいた供養方法で、お墓の維持管理が不要というメリットがあります。手元供養は故人様を身近に感じながら供養を続けられる方法です。また、これらの方法を組み合わせる分骨という選択肢もあり、ご家族の価値観に合わせて柔軟に選択できます。どの方法を選択する場合も、法的なルールを守って適切に行うことが重要です。

お墓から遺骨を取り出すのにかかる費用はどれくらいですか?

お墓からご遺骨を取り出す費用は、墓石の撤去・解体費用に含まれることが一般的です。1から2平方メートル未満の標準的なお墓で15万円から30万円程度が相場となっています。この費用には、墓石の解体、ご遺骨の取り出し、墓地の整地が含まれます。

ただし、墓地の立地条件によって費用は変動します。重機が入れない狭い場所や急斜面にあるお墓、特殊な石材を使用したお墓の場合は、追加費用が発生する可能性があります。また、区画内の付帯設備(玉砂利、植栽、境界ブロックなど)の撤去も別途費用として計算される場合があります。正確な費用を把握するため、複数の石材店から現地確認を含む詳細な見積もりを取得することをお勧めします。

遺骨がない場合や土に還っている場合はどうなりますか?

カロート(納骨室)を開けた際に、ご遺骨が見つからない場合や土に混ざって分からなくなっている場合があります。これは特に関西地方で多く見られる現象で、土に還る方式の埋葬方法が原因です。このような場合でも、墓じまいの手続きは通常通り行うことができます。

ご遺骨が土と混ざっている場合は、可能な範囲で土ごと取り出し、適切な方法で供養することができます。完全に土に還っている場合は、その土を少量取り出して新しい供養先に納めることも可能です。このような状況では、石材店や遺骨供養の専門会社に相談し、適切な対応方法を検討することをお勧めします。

家族の中で意見が分かれている場合の進め方は?

ご家族の中で墓じまいや供養方法について意見が分かれることは珍しくありません。このような場合は、まず専門会社の無料相談を利用し、現在の状況や希望を丁寧に聞き取ってもらいながら、最適な提案を受けることをお勧めします。

分骨という選択肢を活用することで、それぞれのお考えを尊重した解決策を見つけることができる場合があります。例えば、一部を永代供養墓に納骨し、一部を手元供養で保管するといった組み合わせが可能です。墓じまいのその先にある永代供養や散骨、手元供養との組み合わせも含めて、ご家族やご親族の皆様が安心して受け入れられる形を、ゆっくりと一緒に考えていくことが大切です。

お墓を何年放置したら無縁墓扱いになりますか?

お墓の管理費を滞納し続けると、約5年程度で無縁墓として判定される可能性があります。ただし、具体的な期間は墓地の管理者によって異なります。無縁墓として判定されると、官報及び現地での1年間の公告を経て改葬される場合があります。

この状況を避けるためには、計画的な墓じまいの検討が重要です。管理費の滞納が続いた場合、最終的にはお墓の撤去費用がご遺族に請求される場合もあり、結果的に自主的にお墓じまいを行うよりも費用がかかってしまうケースもあります。こうしたことが起こる前に、安心して整理を進めておく方が、将来の負担を減らすことにつながります。また、後継者がいない状態で放置されたお墓は、最終的には寺院や霊園管理者による撤去の対象となり、ご先祖様のご遺骨が合祀墓に移されることになります。

遺骨供養ウーナ|墓じまい後のご遺骨供養の専門サポート

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