墓じまいから永代供養までの道のりを考えるときに気になるのが「お布施にどれくらいかかるのか」という費用の問題ではないでしょうか。閉眼供養や納骨法要、寺院墓地の場合は離檀料など、複数の場面でお布施が必要になるため、全体像を把握しておくことが大切です。また、お布施の包み方や渡すタイミングなど、マナーについても不安を感じる方が多くいらっしゃいます。こうした費用やマナーを事前に理解しておくことで、落ち着いて準備を進められるようになります。

この記事では、墓じまいから永代供養までに必要なお布施の相場を具体的にお伝えし、のし袋の選び方や表書きの書き方、渡すタイミングまで丁寧に説明いたします。さらに、宗派による違いや永代供養の方法ごとの費用相場、費用を抑えるポイントについても触れていきますので、ご自身の状況に合わせた判断ができるようになるでしょう。

墓じまいと永代供養で必要なお布施の全体像

墓じまいから永代供養までの流れでは、主に4つの場面でお布施が必要になります。それぞれの相場を把握しておくことで、全体の費用計画が立てやすくなるでしょう。

閉眼供養のお布施は3万円から10万円が目安

墓じまいを行う際、最初に必要となるのが閉眼供養(魂抜き)のお布施です。閉眼供養とは、お墓に宿っているとされる故人の魂を抜く儀式のことで、墓石を撤去する前に必ず執り行う必要があります。お布施の相場は3万円から10万円が一般的で、寺院との関係性や地域によって金額が変わってきます。

長年お世話になっている菩提寺であれば、やや多めの金額を包むのが礼儀とされています。一方、それほど深い関係でない場合は、相場の下限である3万円程度でも問題ありません。お布施の金額に不安がある場合は、同じ寺院で墓じまいをされた方に尋ねてみるか、石材店に相談してみると参考になるでしょう。

御車代と御膳料で追加1万円から2万円

閉眼供養のお布施とは別に、御車代と御膳料を用意する必要があります。御車代は、僧侶がお墓まで足を運んでくださったことへの謝礼として渡すもので、相場は5千円から1万円です。ただし、こちらから寺院まで伺う場合や、自家用車で僧侶を送迎する場合は不要になります。

御膳料は、閉眼供養の後の会食に僧侶が参加されない場合にお渡しするもので、こちらも5千円から1万円が相場とされています。僧侶が会食に参加される場合は、御膳料は不要です。つまり、御車代と御膳料を合わせると、閉眼供養のお布施とは別に1万円から2万円の追加費用を見込んでおく必要があるということになります。

寺院墓地の方は離檀料5万円から20万円

寺院墓地にお墓がある場合、墓じまいをする際に離檀料が必要になることがあります。離檀料とは、檀家を離れる際に寺院へお渡しするお礼のことで、相場は5万円から20万円と幅があります。長年檀家としてお世話になっていた場合は、感謝の気持ちを込めて多めに包むのが一般的です。

ただし、離檀料には法的な根拠がないため、必ず支払わなければならないものではありません。寺院によっては離檀料を求めない場合もありますし、逆に法外な金額を請求されるトラブルも報告されています。高額な離檀料を請求された場合は、弁護士や行政の相談窓口に相談することをおすすめします。なお、公営霊園や民営霊園にお墓がある場合は、離檀料は不要です。

永代供養先での納骨法要のお布施は3万円から5万円

墓じまい後、新しい永代供養先にご遺骨を納める際にも、納骨法要のお布施が必要になります。相場は3万円から5万円で、永代供養を行う寺院や霊園によって金額が異なります。永代供養の場合、納骨時の法要だけでなく、その後の年忌法要も含めて永代供養料に含まれていることが多いため、追加のお布施は不要なケースもあります。

永代供養先を選ぶ際は、納骨法要のお布施が必要かどうか、また年間管理費や追加費用が発生するかを事前に確認しておくと安心です。施設によっては、宗教・宗派不問で法要自体を行わないところもあり、その場合はお布施も不要になります。ご自身の希望する供養の形と照らし合わせて、最適な場所を選ぶことが大切です。

墓じまいのお布施相場|宗派による違い

お布施の相場は宗派によっても異なる場合があります。特に浄土真宗や曹洞宗では、閉眼供養の呼び方や考え方に独自の特徴があるため、事前に理解しておくと安心です。

浄土真宗の遷仏法要では3万円から10万円

浄土真宗では、閉眼供養を「遷仏法要」と呼びます。これは、浄土真宗の教えでは「魂が宿る」という考え方をしないためです。遷仏法要のお布施の相場は、他の宗派と同様に3万円から10万円程度とされています。ただし、浄土真宗では「御布施」という表現ではなく「御礼」と書く場合もあるため、のし袋の表書きについては事前に寺院に確認しておくと丁寧です。

浄土真宗の特徴として、法事の際の考え方が他の宗派とやや異なる点があります。しかし、お布施の金額自体は大きく変わらないため、一般的な相場を参考にして準備を進めても問題ないでしょう。地域や寺院との関係性によっても金額は変動しますので、不安な場合は菩提寺に直接尋ねてみることをおすすめします。

曹洞宗の閉眼供養でも同程度の金額

曹洞宗でも、閉眼供養のお布施は3万円から10万円が相場とされています。曹洞宗は禅宗の一派で、座禅を重視する宗派として知られていますが、墓じまいの際のお布施については、他の宗派と大きな違いはありません。閉眼供養の手順や儀式の内容には宗派ごとの特色があるものの、お布施の金額については地域性や寺院との関係性が影響する部分が大きいと言えます。

曹洞宗の寺院に相談する際は、のし袋の表書きを「御布施」とし、白無地の封筒を用意すれば問題ありません。御車代や御膳料についても、他の宗派と同様に各5千円から1万円を目安に準備しておくと良いでしょう。

地域や寺院との関係性で変わる金額

お布施の金額は、宗派だけでなく地域や寺院との関係性によっても大きく変動します。都市部では相場がやや高めになる傾向があり、地方では比較的控えめな金額でも受け入れられることが多いようです。また、何代にもわたって檀家としてお世話になっている寺院であれば、感謝の気持ちを込めて相場の上限に近い金額を包むのが礼儀とされています。

一方、最近になって関係を持った寺院や、それほど深い付き合いがない場合は、相場の下限程度でも失礼にはあたりません。大切なのは、金額の多寡よりも、故人への敬意と寺院への感謝の気持ちを込めてお渡しするという姿勢です。不安な場合は、同じ地域で墓じまいをされた知人に相談するか、石材店や葬祭専門会社に尋ねてみると、その地域の実情に合った金額の目安を教えてもらえるでしょう。

お布施の正しい包み方とのし袋の選び方

お布施を準備する際は、包み方やのし袋の選び方にもマナーがあります。正しい形で渡すことで、寺院への敬意を表すことができるでしょう。

表書きは「御布施」と記載する

お布施ののし袋の表書きは、「御布施」と記載するのが一般的です。濃い墨で楷書体で丁寧に書きましょう。表書きの下段には、施主の氏名をフルネームで記入します。浄土真宗の場合は「御礼」と書く場合もあるため、不安であれば事前に寺院に確認しておくと安心です。

御車代や御膳料については、それぞれ別の封筒を用意し、「御車代」「御膳料」と表書きします。お布施と同様に、下段には施主の氏名を記入しましょう。これらは閉眼供養のお布施とは別々の封筒で渡すのがマナーとされています。

白無地の不祝儀袋を使用する

お布施を包むのし袋は、白無地の封筒または不祝儀袋を使用します。水引のついていないシンプルなものを選ぶのが一般的です。ただし、金額が5万円以上の場合は、双銀または黒白の結び切りの水引がついた不祝儀袋を使用しても構いません。

コンビニエンスストアや文房具店で「御布施袋」として販売されているものを購入すれば問題ありません。華美な装飾のあるものや、派手な色の封筒は避けましょう。シンプルで清潔感のある白い封筒が、お布施にふさわしいとされています。

新札を使用して肖像画が上向きになるように

お布施には、できる限り新札を使用するのがマナーです。新札を用意することで、事前に準備していたという敬意を表すことができます。お札を封筒に入れる際は、肖像画が表面になるように、また封筒を開けたときに肖像画が上部にくるように入れます。

お札の向きを揃えて入れることも大切です。複数枚のお札を入れる場合は、すべて同じ向きにして封筒に入れましょう。こうした細かな配慮が、寺院への敬意を示すことにつながります。

裏面には金額・住所・氏名を記載

のし袋の裏面には、金額・住所・氏名を記載します。金額は漢数字で記載するのが正式で、例えば3万円であれば「金参萬円」、5万円であれば「金伍萬円」と書きます。住所と氏名を記載しておくことで、寺院側が記録を管理しやすくなります。

 

特に複数の檀家を抱える寺院では、誰からいただいたお布施かを記録する必要があるため、裏面の記載は重要です。字が不得意な方は、パソコンで印刷したものを貼り付けても失礼にはあたりません。大切なのは、読みやすく正確な情報を記載することです。

お布施を渡すタイミングとマナー

お布施を渡すタイミングや渡し方にもマナーがあります。適切な方法で渡すことで、僧侶への敬意を示すことができるでしょう。

閉眼供養の前後どちらでも問題ない

お布施を渡すタイミングは、閉眼供養の前でも後でも問題ありません。供養の前に渡す場合は、僧侶が到着されたときに挨拶と共にお渡しします。「本日はよろしくお願いいたします」という言葉と共に渡すと丁寧です。

供養の後に渡す場合は、儀式が終わった後に「本日はありがとうございました」という感謝の言葉と共にお渡しします。どちらのタイミングでも失礼にはあたりませんが、地域によって慣習が異なる場合もあるため、不安であれば石材店や葬祭専門会社に確認しておくと安心です。

袱紗や切手盆に乗せて渡すのが丁寧

お布施を渡す際は、袱紗に包んで持参し、渡すときに袱紗から取り出して渡すのが正式なマナーです。袱紗がない場合は、小さなお盆(切手盆)に乗せて渡すのも丁寧な方法とされています。のし袋を直接手渡しすることは避け、必ず何かに包むか乗せて渡しましょう。

袱紗は紫色のものが慶弔両用で使えるため、一つ持っておくと便利です。切手盆は葬儀用品店や通販で購入できますが、なければ小さなお盆で代用しても構いません。大切なのは、お布施を丁寧に扱うという姿勢を示すことです。

御車代・御膳料は別の封筒で用意する

御車代と御膳料は、お布施とは別々の封筒で用意し、同時に渡します。お布施の封筒の上に御車代と御膳料の封筒を重ねて、袱紗に包んで持参すると良いでしょう。渡す際は、お布施から順に渡すのがマナーとされています。

御車代は僧侶が車で来られた場合や、こちらが送迎しなかった場合に必要です。御膳料は、僧侶が会食を辞退された場合にお渡しします。もし僧侶が会食に参加される場合や、こちらが送迎する場合は、該当するものを省いても問題ありません。

墓じまいから永代供養までの流れ

墓じまいから永代供養までには、いくつかの手順を踏む必要があります。全体の流れを理解しておくことで、スムーズに進められるでしょう。

親族と管理者への相談から始める

墓じまいを検討し始めたら、まず親族に相談することが大切です。お墓は家族みんなで守ってきたものですから、独断で進めてしまうと後々トラブルになる可能性があります。親族全員の合意を得た上で、次の段階に進みましょう。

親族の了承が得られたら、現在のお墓の管理者(寺院または霊園)に墓じまいの意向を伝えます。この際、離檀の手続きや閉眼供養の日程、墓石撤去の段取りなどについて相談します。寺院墓地の場合は、離檀料の有無や金額についても確認しておくと良いでしょう。

永代供養先を決めて改葬許可を申請

墓じまいを決めたら、新しい永代供養先を探します。合祀墓・集合墓・個別墓のどの方法にするか、また寺院や霊園の立地・費用・管理体制などを比較検討しましょう。複数の施設を見学して、納得できる場所を選ぶことが大切です。

永代供養先が決まったら、改葬許可の申請手続きを行います。現在のお墓がある市区町村の役所で改葬許可申請書を入手し、必要事項を記入して提出します。この際、新しい納骨先の受入証明書と、現在のお墓の管理者が発行する埋蔵証明書が必要になります。手続きには時間がかかる場合もあるため、余裕を持って進めましょう。

閉眼供養を執り行いお布施を渡す

改葬許可が下りたら、墓石を撤去する前に閉眼供養を執り行います。閉眼供養の日程を寺院と調整し、当日は親族が立ち会うのが一般的です。供養が終わったら、お布施・御車代・御膳料を袱紗に包んで僧侶にお渡しします。

閉眼供養では、僧侶がお経を読み上げて墓石に宿る魂を抜きます。供養が終わったら、お墓からご遺骨を取り出します。ご遺骨は丁寧に取り扱い、新しい納骨先まで運びます。

墓石撤去後に新しい納骨先へ

閉眼供養とご遺骨の取り出しが終わったら、石材店に墓石の撤去工事を依頼します。墓石を解体し、基礎部分まで撤去して更地に戻します。撤去工事の費用は墓石の大きさや立地条件によって異なりますが、1~2㎡未満15万円〜30万円程度が相場とされています。

墓石の撤去が完了したら、取り出したご遺骨を新しい永代供養先に納骨します。納骨の際には納骨法要を執り行い、お布施をお渡しします。これで墓じまいから永代供養までの一連の流れが完了します。

よくある質問|墓じまいと永代供養のお布施

墓じまいと永代供養のお布施について、よく寄せられる質問にお答えします。

墓じまいの際、お寺に渡すお金はいくらですか?

墓じまいの際に寺院に渡すお金は、主に3種類あります。まず、閉眼供養のお布施が3万円から10万円、御車代と御膳料で合計1万円から2万円が必要です。さらに、寺院墓地の場合は離檀料として5万円から20万円が必要になる場合があります。

つまり、寺院墓地で墓じまいをする場合の総額は、9万円から32万円程度を見込んでおく必要があります。ただし、公営霊園や民営霊園にお墓がある場合は、離檀料は不要ですので、閉眼供養のお布施と御車代・御膳料のみで済みます。

墓じまいのお布施の封筒の表書きは?

墓じまいのお布施の封筒の表書きは「御布施」と記載します。濃い墨で楷書体で丁寧に書きましょう。表書きの下段には、施主の氏名をフルネームで記入します。御車代は「御車代」、御膳料は「御膳料」と表書きし、それぞれ別々の封筒で用意します。

 

封筒は白無地のシンプルなものを選び、裏面には金額・住所・氏名を記載しておきましょう。浄土真宗の場合は「御礼」と書く場合もあるため、不安であれば事前に寺院に確認しておくと安心です。

墓じまいの際、石屋さんへのお礼は必要ですか?

墓石の撤去工事を依頼する石材店へのお礼は、基本的には不要です。工事費用を支払うことが石材店への対価となるため、それとは別にお礼を渡す必要はありません。ただし、特に丁寧に作業をしてくれた場合や、予想外の困難な作業を行ってくれた場合には、感謝の気持ちとして心付けを渡すこともあります。

心付けを渡す場合は、作業が終わった後に現場監督や作業責任者に渡します。金額は3千円から5千円程度が一般的です。

永代供養後に追加費用はかかりますか?

永代供養後に追加費用がかかるかどうかは、選んだ施設や契約内容によって異なります。合祀墓の場合は、一度納骨すれば追加費用が一切かからない施設が多いです。一方、個別墓や集合墓の場合は、年間管理費が必要な施設もあります。

永代供養先を選ぶ際は、契約時に年間管理費の有無・金額・いつまで支払いが必要かを必ず確認しましょう。また、年忌法要を行う場合のお布施や、追加で納骨する場合の費用についても事前に確認しておくと安心です。

離檀料が高額な場合どうすればいいですか?

離檀料には法的な根拠がないため、必ず支払わなければならないものではありません。もし寺院から法外な金額を請求された場合は、まず丁寧に話し合いをしましょう。長年お世話になった感謝の気持ちを伝えつつ、支払える範囲の金額を提示するのが良いでしょう。

話し合いが難航する場合は、弁護士や行政の無料法律相談を利用することをおすすめします。また、檀家総代や地域の有力者に相談して、仲介してもらうという方法もあります。大切なのは、感情的にならずに冷静に対応することです。

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